学問のすゝめ 三編 一人輪読会

学問のすゝめの三編を読んだので、自分なりに読み取ったことや読んだ感想をまとめて見た。

読んだのは青空文庫のものですが、段落については原本(慶應義塾)を参考にしています。

要約

[国は同等なること]

国と国が独立し対等であるべき。そのためにも国民の努力が必要。

国家間には、武力や財力など貧富の差があるものの、それぞれの国には権理は保証されるべきである。
そのためには、国民一人一人がそれぞれ一身の独立をし、学ぶことから始めよう。

これには、当時の時代背景が色濃く影響している模様。

開国当初、国レベルでは英米からの不利な条約の締結や、企業レベルでも不利な取引が行われていた。
この状態に不条理を感じて個々人レベルからしっかり学び、たとえ相手が列強国だとしても正当な権利を理解して、道理に外れる無理を飲まないようにして欲しかったんだろう。

『学問のすすめ』現代語訳9 日本屈辱の歴史である不平等条約は頭が弱いから押し付けられた - 平田 圭吾のページ

[一身独立して一国独立すること]

第一条 独立の気力なき者は国を思うこと深切ならず。

責任感のない人(「独立」していない人)が増えてしまうと、たとえ頭数が多くとも実際の国力はそれよりもかなり小さいものになってしまう。

平時であれば、100万人のうち1000人(文中では「主」と表現)が責任感を持ち、残り99万人余り(文中では「客」と表現)に指示を出し客は言われるがままに責任感を持たずに国を回していたとしても、何も問題はない。 (このことを「主客」の二様と表している)

この状態で他国との争いになった際には、責任感のない99万人余りは我が身可愛く命までははらず役に立たず、一国の独立はできないわな。と。

だからこそ、国家と国民の間で上下関係は無く、国家は行政を行い、国民は納税をした上で自己の権利を訴えつつ受益するという、双方の持ち場を分けているだけである。
そして、我が国を我が家のように思えるようになれば、国力は強くなっていくであろう。

この辺りも、やはり時代背景が大きいですね。

開国前は「幕府」が全てで、それ以上が存在しない状況であったため(前編でも記載はあったが)お上に従えば良いという考えが蔓延していたため、所謂「客」ばかりだったんでしょう。
そして、開国当時の列強国によくあしらわれていて国益が損なわれていたことが諭吉さんは問題視してたんでしょう。

『学問のすすめ』現代語訳10 人頼みの責任転嫁が国をダメにする - 平田 圭吾のページ

第二条 内に居て独立の地位を得ざる者は、外にありて外国人に接するときもまた独立の権義を伸ぶること能わず。

これについては、国レベルだけでなく個人レベルや企業レベルであったとしても、「独立」の心持ちがなければ外国人に無理を言われて食い物にされて、それは回り回って国益を損ない、言っちゃえば国辱だよとのこと。

んで、「独立」の心持ちってのは外国人相手にってだけじゃ無くて、お上にへこへこしたり士農工商の上下関係をただ鵜呑みにして思考停止しているような、国内の事象でもちゃんと「独立」の心持ちで行動しような。と。

『学問のすすめ』現代語訳11 卑屈をやめて一人でも立ち上がること - 平田 圭吾のページ

第三条 独立の気力なき者は人に依頼して悪事をなすことあり。

これは、独立の心持ちがない人は、誰かの名を利用して悪事を働くこともある。ということを表している。

文中では、大名の名を借りて高利貸しを行うものの話があり、これが外国の名を借りた同様の悪事があった場合は正に国難であり売国となり、目も当てられないことになる。

『学問のすすめ』現代語訳12 虎の威を借る狐ーー国民の主権を盗む政治家 - 平田 圭吾のページ